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貝作(赤坂)

  • 執筆者の写真: 小松めぐみ
    小松めぐみ
  • 2018年7月7日
  • 読了時間: 3分

更新日:2018年8月22日

東京都港区赤坂2-17-44  

☎03-3586-8538  

営業時間12:00〜14:00、17:00〜23:00 

定休日:日・祝 

予算:昼¥1,200〜、夜¥13,000〜(税サ別) 

http://kaisaku.co.jp/index.html

*2017年3月30日発売「週刊新潮」14号掲載



貝の卸問屋を前身とする料亭の

春の貝と山菜のしゃぶしゃぶ


 赤坂の喧噪から離れた路地の一軒家は、食通の作家も通った1975年創業の貝料理専門店。様々な貝が旬を迎える3月下旬、名物の貝料理を目指して訪れた。

 日本情緒溢れる建物は1階がカウンター席で、2階から4階は全て掘り炬燵の座敷個室。入口は二つあり、カウンター利用の場合の入口は左手の引き戸、個室利用の場合は正面玄関となる。客同士が顔を合わせない造りや、各部屋に配された季節感溢れる屏風、床の間飾りなど、店内には古き良き料亭の趣が溢れている。

「赤坂の料亭も減ってきましたが、何とか和の文化を残したいと頑張っています。最近、週末は若いお客様にもお越し頂けるようになって嬉しい限りです」

 と語るのは、たおやかな和服の女将、山本三重子氏。

 店の前身は昭和6年創業の静岡の貝の卸問屋で、赤坂に開店したのは昭和50年というから、今年で42年になる。

「一言で貝といっても、生食が美味しい貝、加熱して美味しさを増す貝など、色々あります。様々な貝をお楽しみ頂くなら8品1万5000円(税サ別)の『貝作コース』がお薦めです」

 最初の前菜は帆立貝の黄味焼やツブ貝などを貝合わせの器に盛ったもので、続く皿への期待が高まる端正な美しさ。2品目のお椀は直径15㌢ほどもあり、蓋を取ると大蛤がお椀いっぱいに殻を広げている。

「あまりに大蛤が大きいので、お椀は特注しました」

 という自慢のお椀は、大蛤のエキスと昆布出汁の旨味が絶妙で、一口ごとに味わいが深まる。

 3品目の4種の貝のお造りでは、生トリ貝のシャクッとした歯応え、噛むごとにほとばしる青柳の香りと甘み、赤貝の瓜のような香り、タイラ貝のさっぱりとしたミルキーな旨味を堪能。

「貝は鮮度が全てですので、産地から届いたら1階の水槽の天然海水に一晩寝かせ、お出しする直前に殻を開けます。次は宮城産の黒鮑をお持ちします」

 目の前に運ばれた黒鮑が勢いよく暴れているのは、新鮮な証拠。炭火で焼かれた鮑は、驚くほど柔らかくも、弾力のある食感。付け合わせのチンゲン菜の葉にも鮑の旨味が染みている。

 5品目は名店「たん熊」出身の板長、田邊雅弘氏(40)の新作「春の貝と山菜のしゃぶしゃぶ」だ。

「貝の旨味成分のコハク酸は山の幸と相性がいいので、たらの芽やウルイなどの山菜と合わせました。貝は房総産の小蛤、アサリ、サザエで、アサリと相性のいい飯蛸も使っています」 

 スープには貝の旨味が溢れ、飯蛸の卵のプチプチの食感が楽しい。さらに「タイラ貝と野菜の天ぷら」「アサリのぬた」が続き、コースはしゃぶしゃぶのスープで作った雑炊、甘味で終了する……のだが、舌には貝の旨味が蓄積し、余韻をアテに日本酒が飲めそう。


©MEGUMI KOMATSU


個室料別途¥3,000(1室6畳/4名まで)〜¥6,000(1室14畳/10名まで)

カウンター席は室料・チャージ無料  

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