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資生堂パーラー 銀座本店(銀座)

  • 執筆者の写真: 小松めぐみ
    小松めぐみ
  • 2018年7月16日
  • 読了時間: 3分

更新日:2018年8月26日

東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル4・5F  

☎03-5537-6241

営業時間 11:30~20:30 LO  

定休日:月曜(祝日の場合は営業)

コース予算:ランチ¥6,000(平日¥4,100)〜、ディナー¥7,000〜(共に税込) アラカルトの牡蠣フライ¥2,880  

https://parlour.shiseido.co.jp/ginza/index.html

*2016年「週刊新潮」44号掲載



朝採れの厚岸産牡蠣のフライを

特製タルタルソースで


「資生堂パーラー銀座本店」といえばミートクロケットが有名だが、11月1日から始まる牡蠣フライも見逃せない。北海道厚岸産の牡蠣を好んで使う井上直久調理長(49)いわく、

「厚岸の海水はミネラルのバランスがよく、そこで育つ牡蠣はミルキーでしつこくないのが良いところ」

 しかし、晩秋になって形がプクッとしてこないと出すには早いのだとか。まさに旬の時期にのみ提供される牡蠣フライは、アラカルトの他、11月30日までの1カ月間は「秋の味覚コース」2種類にも登場するという。そこで7000円のコースを注文すると、和栗入りの一口コロッケに続き、フランス料理のような前菜「仔牛の胸腺と赤座海老のソテー」が登場した。

「かつて同じビル内にあった系列店にフランス人のシェフが就任してから、彼の影響で当店の料理にもフレンチのエッセンスが加わりまして。フレンチの定番食材の仔牛の胸腺は、キノコと相性が良いので秋によく使います」

 柔らかな仔牛の胸腺とキノコの香りがマッチする一品は、洋食と呼ぶにはハイカラだが、3品目の秋冬の名物「オニオングラタンスープ」(コース+500円)は、親しみ深い味わい。有名フランス人シェフも味を見て絶賛したため、伝統の味が受け継がれているとか。

「鶏と牛スネからとったコンソメのコクが、オニオングラタンスープの美味しさを支えています」

 ベテラン給仕人がスープの蓋を開けると、溶けたチーズの香りが湯気にのって鼻腔をくすぐる。飴色にとろりと炒められたタマネギの甘みとコンソメの旨みが相まった熱々のスープは、1日平均30人前売れるというのも納得の味わいだ。しかし、それを凌ぐ人気なのが、次の「牡蠣フライ」。花椿の金のロゴが映える白い皿に盛られた5個の牡蠣フライは、一口で頬張れるギリギリの大きさである。

「大きな牡蠣をフライにすると、お客様がかじった時に牡蠣のエキスでお召し物を汚してしまうことがあります。それで、敢えてひと口サイズにしているのです」

 なるほど、周囲はドレスアップした紳士淑女ばかり。心持ち上品に牡蠣フライを頬張れば、サクッとした衣の中から、特有のジューシーな旨みが溢れ出る。熱々の身には硬い部分が一切なく、すべてが柔らかだ。

「柔らかさは新鮮さの証。牡蠣の身は新鮮だと黄色っぽいのですが、鮮度が落ちると白っぽくなり、揚げると水分が抜けて硬くなってしまいます。ですから、厚岸(あっけし)でその日の朝に殻を剥いてもらった牡蠣を空輸しています。今ほど新鮮なものが手に入らなかった頃は、牡蠣の縁の黒い部分はえぐ味があるといって除いていましたが、今は新鮮な牡蠣が手に入るので、縁も使っています」

 そんな新鮮な美味しさを引き立てるのは、自家製のタルタルソース。まろやかなソースをつければ、ミルキーな牡蠣の旨みが増すことしきり。残り1個を食べ切るのが名残り惜しくなる。



©MEGUMI KOMATSU

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