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赤坂 渡なべ

  • 執筆者の写真: 小松めぐみ
    小松めぐみ
  • 2019年7月5日
  • 読了時間: 3分

更新日:2019年8月16日

東京都港区赤坂2-17-59 エスポワール2F ☎︎03-6426-5872

営業時間:11:30〜13:30LO、17:00〜 不定休

コース予算:昼の部¥6,000〜、夜の部¥13,000~(税サ込)

http://www.akasaka-watanabe.net

*2019年6月27日発売「週刊新潮」25号掲載



名店出身の主人の会席コースを

肩肘張らずに楽しめる隠れ家


 明るく気さくで腕のいい店主と、笑顔と気遣いが素敵な若女将。そんな夫婦が切り盛りする、住宅街の隠れ家的な日本料理店。白衣に蝶ネクタイ姿の渡邊雄二郎氏(33)は、「津

やま」「金田中」という、格式ある名店で修業した料理人だ。

 夜の部の会席コースは、10品1万3000円(税サ込、以下同)から3種類。内容は月替りだが、食前の「自家製酵素ジュース」とお凌ぎの「のどぐろ粥」、〆の「鯛茶漬け」は定番だ。

「酵素ジュースは、食前に飲んでいただくと血糖値が急に上がるのを防げます」

と言われて飲んでみれば、人参やりんごなどから作られたそれはノンアルコールの食前酒感覚。年配の常連にも好評だとか。続く「前肴」は季節感溢れる趣向で、6月は大きな蓮の葉を器にした盛り付けも涼やか。黒鮑や生ウニ、巻海老、天然じゅん菜などの上にかけた冷たい出汁のゼリーを「くずし琥珀」と表記するのも風流だが、渡邊氏いわく、献立の書き方は「金田中」の流儀に倣っているとか。

 3品目の「のどぐろ粥」は、湯葉と銀餡を合わせたお粥にのどぐろの炭火焼をのせたもので、身も心も温まる味わいだ。

「お酒を召し上がる前にお粥で胃を温めていただこうと思いまして。これを定番にした理由には、故郷の日本海側の味を入れたいという想いもあり、のどぐろは金沢から取り寄せています」

 かく言う渡邊氏は新潟県出身。生家が仕出し屋を営んでいたため料理人を目指していたところ、縁あって「津やま」の親方が声を掛けてくれたのだという。

 1万5000円のコースには、「津やま」譲りの夏の味「冷しとまと煮」も登場。鴨のひき肉を詰めて煮て冷やしたトマトは、やさしい食感も魅力的だ。

 お椀は、葛打ちした牡丹鱧と賀茂茄子を取り合わせた正統派。吸地はやや昆布が利いていて、一口目から豊かな滋味が感じられる。

「繊細すぎると伝わらないので、敢えて昆布を強くしました。昔から理想とされている“飲みきった時に美味しいと感じるバランス”も大切にしたいので、吸地の量は控えめにしています」と渡邊氏。

 お造りの後に登場する炭火焼は三択で、6月のラインナップは「若あゆ」「伝助大あなご」「のどくろ西京漬け」。絶妙な加減で焼かれた魚にさりげなくバチコが添えられているのは、

「ゆっくりお酒をお楽しみください」というメッセージだ。

お薦めの新潟の銘酒「〆張鶴」は、「金目鯛とフカヒレの小鍋仕立て」にもぴったり。小鍋のスープは、鰹と昆布、しっかり焼いたアラを使ったもので、キレの良い旨みが印象的だ。「ゴールドラッシュのかき揚げ」に続いて供される〆の「鯛茶漬け」は「津やま」から受け継ぐ名物で、米は故郷の関川村で姉上が育てたもの。再訪したくなる魅力が満載だ。



©MEGUMI KOMATSU


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