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銀座 和久多(銀座)

  • 執筆者の写真: 小松めぐみ
    小松めぐみ
  • 2018年7月2日
  • 読了時間: 3分

更新日:2018年8月25日

東京都中央区銀座8-3-1 銀座時傳ビル5階  

☎03-6215-8018

営業時間 12:00 ~13:00LO(火〜土)、18:00〜20:30LO  

定休日:日曜、祝日、月曜の昼

コース予算:夜¥10,000〜(税サ別) 

http://www.wakuta.com

*2017年2月9日発売「週刊新潮」7号掲載



季節の変化を細やかに映す

現代的な京懐石


 寒さの中にも春の兆しが感じられる2月は、フグや蟹などの冬の味覚が全盛だが、春の食材も出始める季節。そんな季節の移ろいを月替わりのコースで楽しませてくれる「銀座 和久多(わくた)」は、関西で修業し、銀座「馳走卒啄(ちそうそったく)」で研鑽を積んだ

亀山昌和氏(43)が腕を振るう日本料理店だ。

 亀山氏が得意とするのは、正統派でありながら、なおかつ新鮮さもある京懐石。2015年11月に銀座コリドー街に移転リニューアルした店内は、カウンター5席と個室5室から成る。白木を生かした内装やコース1万円(税サ別、以下同)からの価格は以前と同じだが、亀山氏いわく、

「お客様のご要望で個室を増やしました。近隣のホテルに宿泊されている外国人お客様も増えましたね」

 季節感こそ日本料理の魅力というわけで、ご近所のホテルのコンシェルジュが推薦してくれるのだとか。

 9品構成のコースは4種類あり、一番人気は1万3000円のコース。

「今月の先付は『甘鯛の菜種蒸し』です。本来の“菜種蒸し”は加熱して裏漉しした卵黄を使い、その色を菜の花に見立てた料理ですが、本日は本物の菜の花を使っていますので卵黄は使っておりません」

 蕨柄の小鉢の中は、筍、木の芽、菜の花、甘鯛と、春らしさ満点の取り合わせ。小鉢には熱々の出汁餡が敷かれているため、余寒の外気に冷えた体が温まるのも嬉しい。

 2品目の八寸は節分にちなんで小さな枡に盛った炒り豆や、柊形の器に盛ったフグの唐揚げ、海老芋、空豆、雲子の飯蒸しなど。雲子といえば「白子ポン酢」が一般的だが、「飯蒸し」ではふわりとした雲子と餅米の食感のコントラストが生まれ、乙な味わいだ。

「古典的なだけではつまりませんから、雲子とご飯を組み合わせるなど、食材の取り合わせで新しさを出すようにしています。かといって実験的になるのは本意でありませんので、お客様に“和食”と捉えていただける範囲で工夫しています」

 続く「蟹真丈のお椀」や「お造り」、6品目の「クエ鍋」はオーソドックスだが、5品目の「鰆のみぞれ焼」は“新しさ”が垣間見える品。鰆の上には醤油で味付けした刻みタマネギが塗られ、蕗の薹(ふきのとう)の素揚げを砕いたものが散らされている上に、付け合わせの鬼おろしにはカラスミが和えられている。鮮やかな彩りも楽しいが、脂ののった鰆の旨味は格別だ。

「鰆はまさに今が旬。当店では房州産や、庄内鰆を使います。刻みタマネギをのせて焼くのは『みぞれ焼き』という昔ながらの料理ですが、蕗の薹を合わせることで新しさと、季節感を演出しました」

 7品目の「ブリと大根の炒り出し」は、粉をつけて揚げた鰤と大根に出汁をかけた、いわば進化系「鰤大根」。〆の土鍋ごはんは、香住(かすみ)産ズワイ蟹と帆立の旨味が染みた贅沢な味わいだ。

 ここに来れば、いつでも皿の上で自然を感じられる。その楽しみを知る常連客で、店内はいつも賑わっている。


個室

©MEGUMI KOMATSU

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