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銀座 紡庵

  • 執筆者の写真: 小松めぐみ
    小松めぐみ
  • 2019年4月29日
  • 読了時間: 3分

東京都中央区銀座1-8-7 VORT銀座DDI 3F ☎︎03-6263-0282

営業時間:11:30~14:00 LO、17:00~22:30 LO

定休日:日曜、祝日(4/28〜30は営業)

コース予算:ランチ¥2,000(税別)、ディナー¥12,000〜(税サ別) 

*ランチは先着10名半額



オーナーは北陸の魚の元仲卸

自慢の食材を和食と鉄板焼で


 ズワイ蟹やノドグロなど、美食家垂涎の魚介が獲れる福井県敦賀市。彼の地の魚の目利きである元仲卸、新井陽士氏(65)が厳選した天然の旬の魚貝を、東京・銀座の一等地で手頃に楽しめるのが「銀座 紡庵」である。

 暖簾をくぐると、壁際のショーケースには尾頭付きの鮮魚がずらり。見るからに立派なそれらの魚は、新井氏が都内の一流店に卸しているものと同じランクのものだという。

「今日並んでいるのは、クエとノドグロです。見る目のあるお客様は『安いね』と喜んでくれるんですよ」

 などと聞けば、期待は高まるばかり。

 夜のコースは1万2000円(税サ別、以下同)から3種類。お酒はワインも日本酒も充実しているが、間違いなく魚介と相性が良いのは富山県・氷見にある高澤酒造場の「曙」だろう。

 永田正彦(50)料理長によると、この醸造所は日本海が見える場所にあり、お酒は氷見の魚に合うように造られているとか。後味のスッキリした純米酒は、お通しから5品目まで続く海の幸と抜群の相性だ。

 コースに使われる魚貝の種類は日によって異なるが、4月の一例はガスエビ、ウチワエビ、クエ、サワラ、真鯛など。ガスエビは鮮度が落ちるのが早いため首都圏には出回らないが、北陸では甘エビ以上に好まれているというのも納得のおいしさ。ウチワエビも関東では馴染みがないが、「西の伊勢エビ」と呼ばれる通り、濃厚な旨みと甘みが持ち味だ。お造りのクエは、九州ではアラとも呼ばれる高級魚である。

「九州では冬に鍋物にすることが多い魚ですが、一年中獲れますので、通年お出ししています。クエのような高級魚をリーズナブルに楽しめるのが、当店の醍醐味ですから」

と新井氏。早春迄は越前蟹が大好評を博したそうだ。

 コースの中盤には、西洋料理店で修業した津留雄介副料理長(30)の鉄板焼も登場。白ワインソースやホウレンソウのピュレを添えた真鯛は石川県能登町産で、皮目の香ばしさとふっくらした身の旨みが印象的。

 1万5000円のコース(3日前迄に要予約)は、柔らかな能登牛フィレ肉(80㌘)の鉄板焼も供される豪華な内容。鉄板焼は、付け合わせの野菜も厳選品とあって、香り豊かだ。

「能登は野菜もおいしいので、直送しています。玉ねぎは皮付きのまま1時間かけてローストして甘みを引き出しました」

とは、津留氏の弁。

 そして最後は再び和食に戻り、混ぜご飯と味噌汁で〆る趣向。ご飯に混ぜた島根県浜田の「どんちっちノドグロ」は焼いて脂を落とし、くどくならないように仕上げる匙加減が絶妙だ。

 食後は、北陸の春の美味を余すところなく満喫した気分。もうすぐ蛍イカが入ると聞くと、再訪を誓いたくなる。


©MEGUMI KOMATSU


次回は「週刊新潮」19号にて、「銀座ふじやま」の記事をお届けします

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