銀座 鮨青木 西麻布店(西麻布)
- 小松めぐみ
- 2018年6月7日
- 読了時間: 3分
更新日:2018年8月23日
東京都港区西麻布3-23-7 パレロワイヤル西麻布1F ☎︎03-5771-3344(完全予約制)
営業時間17:00〜20:00(最終入店) 定休日:月曜、火曜
コース予算:¥18,000〜 http://sushiaoki.jp
*2016年「週刊新潮」30号掲載

新感覚の鮨とアメリカ人シェフの
和食のコラボレーション
1992年より銀座に本店を構える「鮨青木」は江戸前鮨の名店。2代目の青木利勝氏(52)が2007年にオープンした西麻布店では、さまざまな異ジャンルの料理人とコラボレーションして期間限定のコースを出す企画「Project Blue Tree」が始まった。その第一弾(9月11日迄)は、アメリカ出身の和食料理人、デレク・ウィルコクス氏(39)の和食と、「銀座鮨青木」の鮨を楽しめるというもの。
ウィルコクス氏は料理学校のハーバードといわれるCIA(カリナリー・インスティテュート・オブ・アメリカ)出身で、同校在学中に研修で訪れた京都の老舗料亭「菊乃井」で7年修業を積み、さらに「銀座鮨青木」で2年半修業した経歴の主。この秋にはニューヨークで和食店の開業準備に取りかかるそうで、独立する弟子へのはなむけとして青木氏が「西麻布店で和食を出してみないか」と提案したことから、このプロジェクトが始まったとか。
「プロジェクト名は、ウィルコクスさんが私の名字を英語にして青=Blue、木=Treeと命名したものです。
1万8000円のおまかせコースの内容は、彼がつくる“アメリカンジャパニーズ”の料理9品と、ウチの握り4カンです」
ウィルコクス氏による最初の先付けは「カリフォルニアロール」に着想を得た一品で、味噌漬けにしたアボカドのスライスで毛蟹を巻き、キャビアをのせたもの。味噌漬けのアボカドとは斬新だが、塩気と旨みのバランスはいかにも日本料理的だ。
「料理としての工夫がされた、クオリティの高いカリフォルニアロールですね。
ウィルコクスさんは、和のスタイルを崩さずに、自然に海外の食材を使うことができるんです」
と青木氏が言うように、シマアジのお造りには、ツマとして赤タマネギのスライス、青唐辛子を混ぜた「青もみじおろし」、ライムで作ったポン酢が添えられる。
ウィルコクス氏の自信作の「冷やし炊き合わせ」は、蛸の桜煮、白ずいき、茄子、茗荷、焼ハラペニョ唐辛子を炊き合わせ、青柚子ゼリーを添えたもの。ハラペニョ唐辛子という外国野菜が使われてはいるものの、それぞれの素材の魅力を引き出した味わいは、繊細で上品だ。
一方、青木氏の一番弟子の杉澤氏が握る鮨は、香りや食感が新鮮。フェンネルというハーブの新芽を挟んで握ったシンコは、ハーブの清々しい香りとシンコの相性のよさに驚く。殻ごとサッと炙って半生状態にした手長海老の握りにはキャビアをのせ、中トロの握りには凍らせて削ったフワフワの山葵を大量にふりかけるなど、どれも他店にはないものばかりだ。
「味わいは“和”でありながら、ひとひねりした握りに仕上げています。江戸前のクラシックな鮨は銀座で続けていきますが、西麻布店では少しずつ新しいことに挑戦していきたいと思っているんですよ」(青木氏)。
次回の第2弾は2016年11月。韓国料理とのコラボレーションにも期待が募る。
©MEGUMI KOMATSU
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