鮨つぼみ(中目黒)
- 小松めぐみ
- 2018年8月12日
- 読了時間: 3分
更新日:2018年8月22日
東京都目黒区東山1-21-26
☎03-6451-0903
営業時間:18:00〜 ※18:00または20:30スタートの1日2回制
定休日:水曜日 コース予算:¥18,000(税別)
http://www.sushi-tsubomi.jp
*2018年7月28日発売「週刊新潮」28号掲載

「鮨さいとう」プロデュース 若手が活躍する中目黒の新店
「食事もエンタテインメント。日本の食文化を世界にも」
そんなキャッチコピーのもとに13店の飲食店を経営するLDH kitchenは、人気アーティストが所属するエンタテインメント企業LDH JAPANの飲食部門。初夏にオープンした最新店「鮨つぼみ」は、ミシュランの3ツ星に輝く六本木の人気店「鮨さいとう」がプロデュースする店だ。
「もともと『鮨さいとう』のお客様だったLDHさんからお話しをいただき、姉妹店としてオープンしました。店名は、“職人のつぼみ”である若手が活躍する場ということで“つぼみ”となりました」
そう説明するのは、マレーシアの「たかby鮨さいとう」で研鑽を積んだ店主の丸山真琴氏(43)。
「魚は毎朝築地で齋藤(孝司氏・『鮨さいとう』店主)と一緒に仕入れています」
と言うように、本店と同じ仕入れの魚はいずれも逸品揃いだ。それでいてお値段は本店より若干リーズナブルな1万8000円(税別)。おまかせコースの内容は、つまみ約6品と握り約11カン、太巻き、玉子焼き、味噌汁が基本である。
7月のつまみは旬のウニや毛ガニが秀逸で、北海道余市産の塩水ウニは、エゾバフンウニとキタムラサキウニの2種を食べ比べできる趣向。どちらも甘さが格別だが、比較的淡泊なキタムラサキウニに対して、バフンウニの方は濃厚かつとろけるような口当たり。噴火湾産の毛ガニは、ゆでてほぐした甘い身を、コクのあるカニみそと和えたもの。「佐島の蛸の桜煮」や、「磯辺焼」は、本店でも好評の定番だ。ただし「磯辺焼」の中の貝は、本店はタイラ貝、こちらはホタテ貝。
つまみを5品味わうと、店主は握り用のマグロを切りつけ始めるが、次に登場するのは焼魚のマナガツオ。その旨みを味わっている間にも、握り用の魚はどんどん切りつけられていく。
「先に魚を切っておくのは、温度調整のため。マグロは常温に戻りにくいので、最初に切り始めるんです」
握りが始まる前には赤身、中トロ、大トロ、星ガレイ、シマアジがまな板にずらりと並び、壮観だ。
握りの1カン目は、白身の高級魚、星ガレイ。透明感のある身で包むように握られた酢飯は、米粒の間に空気を孕み、ネタと同時にほどける食感が心地よい。 捨てシャリをせずに握る店主の所作は、寸分も無駄がなく、見惚れる程である。
「立ち居振る舞いはもちろん、空間、道具もきれいにするようにと齋藤から言われておりまして。『清潔な空間で手入れされた道具を使えば、自ずと鮨は美味しくなる』というのが齋藤の持論なので、若手はまず、掃除と道具の手入れを叩き込まれるんですよ」
後半に出る活車海老は甘みと旨みに溢れ、脂ののった鰯はとろけるような味わい。雑味のない端正な鮨を味わえば、若手の裏方仕事にもエールを送りたくなる。
©MEGUMI KOMATSU
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