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銀座とよだ(銀座)

  • 執筆者の写真: 小松めぐみ
    小松めぐみ
  • 2018年7月12日
  • 読了時間: 3分

更新日:2018年8月22日

東京都中央区銀座7-5-4 ラヴィアーレ銀座ビル2F 

☎03-5568-5822

営業時間:11:30〜13:30最終入店(月・土昼12:00~)、17:30~22:00(20:30最終入店) 定休日:日曜、祝日 予算:昼¥5,000〜、夜¥10,000〜(税サ別) 

http://ginza-toyoda.com

*2017年6月8日発売「週刊新潮」23号掲載



関西出身の料理長が腕を振るう

銀座の雑居ビルの“リトル関西”


 今年も鮎の季節がやってきた。いそいそと出かけた先は、関西料理のおまかせコースを1万円(税サ別)から楽しめる割烹「銀座とよだ」。この道30年超の料理長、岡本圭一氏(51)が

「鮎は6月の花形食材。どのコースでもお出しします」

 と、全国の川から鮎を取り寄せているのだ。

 仄かなお香の香りが漂う玄関先の格子戸を引くと、右手は個室で、左手には白木のカウンター10席とテーブル2卓を配した空間が広がる。数寄屋造りの第一人者、京都の中村外二工務店が手がけた店内の、凛とした空気に期待が高まる。

 1万円のコースの先付は、鱧の落としに丹波のエンドウ豆やトマト、金時草*(きんじそう)を添えたもの。なめらかな出汁のジュレとスダチの香りに、みるみる食欲が開かれる。

「私が上京した20年前は、東京では鱧を好む方が少なかったのですが、近頃は好んで食べていただけるようになりましたね」

 今ではイタリアンや中華でも使われるほど定着した鱧だが、そもそもは関西の魚。ふわりとした身に旨みと香りを閉じ込めた鱧の落としは、関西料理のベテランならではの逸品だ。

 2品目は「琵琶鱒の握り寿司」。花山椒の佃煮をのせた鱒のまろやかな旨みが、酢飯と合って爽やかだ。

「うちは1日1組以上外国人のお客様がいらっしゃるのですが、鱒などトラウト系の魚は外国の方にも人気です。ワインを望まれることも多いので、日本のワインも含めて色々ご用意しているんですよ」

 ドリンクリストを開けば、ワインは約40種類と豊富で、日本酒も10種以上。

 引きたての一番出汁が香り高いお椀「帆立しんじょうと天然車海老、おかひじき」を挟んで登場したお造りには、岐阜の日本酒「三千盛(みちざかり9」を合わせた。

「飲んだ後にもキリッとキレる感じがします」

 と岡本氏が勧める通り、

 マコガレイ、ウニ、アオリイカと、それぞれの味が引き立って愉快。苔色の伊賀焼の器に2尾盛られた「天然鮎の塩焼き」との相性も抜群で、香ばしい頭やヒレの脂の旨み、ワタの苦味、柔らかな身の旨みを、お酒で区切りながら満喫できる。

「今日の鮎は四万十川の天然物です。鮎漁は5月15日に四万十川で一味先に解禁された後、徐々に北上していきますが、梅雨に入ると天然物が捕れない日もあります。その際は川で養殖した“半天(然物)”を使うのですが、半天の方が骨が柔らかいからと言って、そちらを好むお客様もいらっしゃいますね」

 真夏に大きくなった鮎も半天なら頭からかじれそう。

「加茂茄子と小松菜の炊き合わせ」「浅利の炊き込みご飯」をしみじみ味わい、なめらかな「水羊羹」の口どけを楽しめば、早くも夏を満喫した気分だ。


©MEGUMI KOMATSU


(2018年8月22日追記)

金時草は夏が旬の加賀野菜です。

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