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鴨正(築地)

  • 執筆者の写真: 小松めぐみ
    小松めぐみ
  • 2018年4月26日
  • 読了時間: 3分

更新日:2018年8月25日

東京都中央区築地3-12-5 築地小山ビルB1   ☎︎03-5550-1220

営業時間11:30~14:00、17:00〜22:00  定休日:日曜・祝日 

予算:コース¥5400〜 

*2015年「週刊新潮」45号掲載



老舗問屋が手がける鴨専門店で

「鉄板焼き」と「しゃぶしゃぶ」を


 日本で鴨を使った料理といえば、王道は「鴨南蛮」か「鴨鍋」であろう。あの鴨肉のコクをまとった蕎麦の香りも、出汁をさっとくぐらせた肉の柔らかさも、たまらない。

 が、大正8年創業の老舗鴨問屋「鳥上商店」の3代目専務取締役・加藤和夫氏(67)は、「鉄板焼き」と「しゃぶしゃぶ」を勧める。昨春には、その味を広めようと、東京・築地に「鴨正」なる料理店まで開業してしまったほどだ。

「鴨南蛮などの定番料理以外にも美味しい食べ方があるということを、もっと知ってもらいたいなと思ったんです」

 と、加藤専務。

「一口に鴨と言っても、真鴨と合鴨とでは育つ環境がまるで違い、当然ながら肉質や味、それぞれに合った食べ方も変わってくる。野生の真鴨は毎年10〜11月頃にシベリアやロシアから日本へ渡ってきて、飛翔距離は4000㌔にも及びます。一方の合鴨は、真鴨にアヒルを交配させた家禽で、そもそも空を飛びません。すると、真鴨は合鴨よりも脂が少なく、鉄分が多くなるため、鍋で煮るよりも鉄板で焼いた方が、旨味が身に閉じ込められる。それに対して、合鴨は脂が分厚いので、しゃぶしゃぶにするのが向いています」

 真鴨が毎年10、11月~3月の猟解禁期間しか獲れないのに対し、家禽の合鴨は通年で食べられるという点も、大きな違い。今回は1万3000円のおまかせコースを注文し、両者を食べ比べることにした。

 先付と「鴨のフォワグラ入り茶碗蒸し」「合鴨のささみの昆布締め」に続き、鉄板焼き用の真鴨の胸肉が登場した。胸肉は鴨のなかでも一番柔らかく、おいしい部位である。

「塩か山椒醤油、柚子胡椒でどうぞ」

 和服の女将の勧めの通り、まずはサッと焼いて藻塩をつけると、肉汁とともに鉄分を含んだ滋味と香りが広がる。山椒醤油や柚子胡椒をつけても香りに負けないのは、さすが真鴨だ。

 お次は、いよいよ通年の名物「鴨しゃぶ」。合鴨の胸肉、つみれ、野菜が盛られた大皿と、鍋が運ばれてきた。テーブルで女将が火を通し、取り分けてくれる。

「お客様がご自分で肉を鍋に入れると、火を通し過ぎる傾向があるんです。1枚3㍉程度の厚さなので、牛しゃぶよりも少しだけ長めに入れるのがちょうど良い」

 しゃぶしゃぶにした合鴨の胸肉は、鉄板で焼いた真鴨の胸肉よりも、身の鉄分が少ないため、さっぱりしているが、やはり鴨特有のコクがある。ふんわり柔らかなつみれも旨味が濃厚。

「当店の合鴨は宮城県の契約農場で育てたもの。美味しさの理由は、餌と飼育環境にあります。ミネラル豊富な竹炭水や何種類もの発酵飼料を与え、一般的な飼育日数よりも長い期間をかけて育てているため、深い味が生まれるのです」

 〆は蕎麦かと思いきや、登場したのはオリジナルラーメン。合鴨の出汁がきいた上品な和風ラーメンも、「鴨南蛮」を脅かす定番料理のひとつになりそうだ。




©MEGUMI KOMATSU

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