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龍圓(浅草)

  • 執筆者の写真: 小松めぐみ
    小松めぐみ
  • 2018年7月18日
  • 読了時間: 3分

更新日:2018年8月22日

東京都台東区西浅草3-1-9  

☎090-8720-2581  

営業時間 12:00〜13:00最終入店、17:30〜20:30最終入店 

定休日:月曜(祝日の場合は翌火曜)、第一火曜 

コース予算:ランチ¥2,500〜、ディナー¥6,000〜(税別)

http://www.ryuen1993.com

*2017年8月9日発売「週刊新潮」32号掲載



独創的なおまかせ中華の白眉は

フルーツトマトが主役の「酢豚」


 浅草国際通りに面した「龍圓(りゅうえん)」は、9〜10品から成るおまかせコースが人気の中国料理店。カクテルグラスに刻んだピータンを入れて豆腐のエスプーマ(泡)をのせて出す「ピータン豆腐」のような、独創的な名物が評判だ。オーナーシェフの栖原一之氏(52)いわく、新メニューは食材の生かし方を考えているうちに生まれるのだとか。

「異ジャンルの料理人仲間に刺激されて1998年頃から食材の生産地巡りをするうちに、自ずと食材と向き合うようになったんです。うちの『ピータン豆腐』の豆腐がエスプーマなのは、普通の絹ごし豆腐だと食べているうちに豆腐が崩れて見た目が悪くなってしまうため。でも、こうすると最後までスプーンできれいに楽しめるでしょう?」

 個性的だが、奇をてらっているわけではないのだ。

 6000円(税別)のおまかせコースの2〜4品目は、老酒の香りが生きた「カンパチとアオリイカとモッツァレラチーズの老酒漬」、鶏胸肉のスライスに辛いソースをかけた「よだれ鶏」、上湯スープで煮た北海道産トウモロコシの甘みが夏らしい「トウモロコシの春巻」。いずれも食材の持ち味が生きて油っぽさがなく、さらりとした味わいである。

「自分が油っぽい料理が好きじゃないものですから。調理には米油を使っているので、揚げ物もさらりと仕上がるんですよ。鶏胸肉はしっとり仕上げるため、フレンチの技で真空調理にしています」

 5品目の定番「トリュフのかに玉」は、とろりとしたかに玉に豪産黒トリュフのスライスをのせたもの。かにの甘みと卵と黒トリュフの香りが絶妙だが、

「これは合って当然の組み合わせ。私が本領を発揮するのはこれからです(笑)」

 と栖原氏。6品目の「那須和牛と蓮根、アスパラガス、早松茸の炒めもの」は、柔らかな和牛と歯応えのある野菜の食感のコントラストがよく、旬と走りの食材の出合いも楽しい一品。次の「フルーツトマトの酢豚」は、表面をカリッと揚げた豚肉に、フルーツトマトベースの甘酸っぱいタレが絡んで、夏の疲れも吹き飛ぶパンチがある。

「これは酢豚ですが、主役はフルーツトマト。国産のフルーツトマトが美味しい夏場によくお出しする料理です。ニンニクの後味がフルーツトマトの香りの邪魔をしないように、ニンニクは米油で煮て水分を飛ばしてから使っています。ニンニクの臭みは水分にありますのでね。そしてトマトの爽やかさを引き立てるためにバジルを足し、深みを出すためにシェリビネガーを使っています」

 フルーツトマトを生かすために、様々な工程が積み重ねられているのだ。

 締めの「叉焼と九条葱の炒飯」は、別添えのスープをかけ、お茶漬け感覚で味わう一品。さらりと美食を堪能できる一軒である。


©MEGUMI KOMATSU


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