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アサヒナ ガストロノーム(茅場町)

  • 執筆者の写真: 小松めぐみ
    小松めぐみ
  • 2019年1月18日
  • 読了時間: 3分

東京都中央区日本橋兜町1-4 M-SQUARE Bldg 1F

☎03- 5847-9600 予約時間:12:00、12:15、12: 30/18:00、18:30、19:00、19:30

不定休 コース予算:ランチ¥4,800〜、ディナー¥12,000〜(税サ別) 



豚の膀胱でブレス鷄を包んだ特別料理「ヴェッシー」を満喫


 日本橋兜町に昨秋誕生したフランス料理店「アサヒナガストロノーム」の朝比奈悟料理長(49)は、「20世紀最高の料理人」と呼ばれた故ジョエル・ロブションの愛弟子。

「ビジネスマンの方々に気軽にフランス料理を楽しんでいただきたい」

 と、金融街に構えた店の中には、ゆったりしたテーブル席と、2〜10名までの個室も用意されている。白とシルバーでまとめられた空間を彩るシャンデリアは、オランダの有名デザイナー、マルセル・ワンダースがディレクターを務める「モーイ」社製。入口側の席からは、厨房の様子をガラス越しに見ることもできる。

 コースは昼夜共に2種類あり、ランチは4800円、ディナーは1万2000円(全て税サ別、以下同)から。「伝統の継承と現代の革新」というテーマに基づき、古典的なフランス料理を現代的な調理法や食材で仕上げるのが特徴だ。

 たとえばある日のアミューズは、カエルの揚げ物と、エスカルゴのタルト、鴨とフォアグラのリエット。いずれもベースは伝統料理だが、一口サイズに仕立て、銀製のスタンドに盛り付ける演出が華麗でモダンだ。ハーブやニンニクでマリネされたカエルの揚げ物は、身の旨味も香ばしい衣の食感も絶妙で、エスカルゴはサクッとしたタルト生地のバターの風味に唸らされる。

 続いてワゴンで供されたここの日の前菜「パテアンクルート」は、パイ生地でパテを包んだ伝統料理。リング状のお菓子型で作り、ワゴンサービスで提供するのは、朝比奈氏独自のスタイルだ。スタッフがパテを切り分ける手さばきは実に鮮やかで、

「ほとんどのスタッフはロブショングループから移籍したメンバーです」

 と、聞いて納得。

 メイン料理で是非とも味わいたいのは、豚の膀胱にブレス産若鶏を閉じ込めて蒸し焼きにした特別料理「プーレアンヴェッシー」だ。現在では滅多に味わうことができないこの古典料理は、1万8000円のディナーコースのメインとして楽しめる逸品(+5000円)。予め予約しておくと、スタッフが前菜を食べ終えた頃に大きな巾着袋のような膀胱を携えて現れ、中から1㌕強の丸鶏を取り出し、ワゴンサービスで捌いてくれる。鶏のブイヨンとフォワグラなどを合わせたクリームソースを添えて供される胸肉は、しっとりして旨味豊か。いったん厨房へ運ばれ、様々なキノコと共にスープにされたもも肉は、うっとりする程芳醇な旨味に満ちている。豚の膀胱は、

 本来は乾燥させたを使うところ、シェフは新鮮な膀胱を用い、より現代的な美味しさを目指したとか。

「フランス料理の伝統を世間に伝えることも私の使命」

 と考える、朝比奈シェフならではの名品である。



©MEGUMI KOMATSU


次回は1月31日発売「週刊新潮」5号にて、「レストランプルニエ」の記事をお届けします

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